九年母(クネンボ)はミカン科ミカン属(キトルス属)の常緑低木である。
キトルス属は分類法によるが160種くらいが東アジアからインドにかけて分布する。
本種の来歴については諸説がありはっきりしていない。
原産地はインドシナ半島で、中国を経由して琉球に伝わったとされる。
日本への渡来は16世紀の室町時代で琉球を経由して伝わったとされる。
他説では万葉名を阿倍橘(アベタチバナ)といい、既に万葉集の時代に恋歌に詠まれていたとされる。
いずれにしても江戸時代まではミカンの主流品種であったが、紀州蜜柑(キシュウミカン)の登場でその座を譲ったという。
今日では日本各地で、少数の古木が確認されているに過ぎない。
樹高は2メートルから3メートルくらいである。
葉は卵形で、互い違いに生える(互生)。
葉の縁は全縁か、細かいぎざぎざ(鋸歯)がある。
開花時期は5月くらいである。
葉の脇に花径2センチから4センチくらいの白い花をつける。
花弁と萼片は5枚ずつある。
雄しべはたくさんあり、雌しべは1本である。
結実時期は冬で、黄橙色の柑果(多心皮性の液果)をつける。
果皮は厚くてでこぼこがあり、特有の香りがする。
果肉は酸味が強いが、完熟すれば生食できる。
和名の由来は、「種を植えてから9年で実がなる」ということからきている。
属名の Citrus はレモンに対する古い呼び名である。
種小名の nobilis は「気品のある」という意味である。
写真は3月に市川市万葉植物園で撮った。
学名:Citrus nobilis
★でこぼこの姿がどこか床しくて
歴史の重み味わうように
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